―― 通院同行のルール・訪問看護との連携について ――
障がい者グループホームへの入居を考えている方や、ご家族の方からよくいただくご質問のひとつが「病院への通院はサポートしてもらえるの?」というものです。
体調管理やお薬の調整は、安心して毎日を過ごすために欠かせない大切な要素です。しかし、通院には不安がつきもの。「ひとりで行けるかな?」「サポートはどこまでしてもらえるの?」といった心配を抱える方も少なくありません。
この記事では、当ホーム「わたしの居場所」で行っている通院サポートについて、女性向け・やさしい口調で、はじめての方でも安心して理解できるよう、より丁寧に詳しくまとめました。少し長めの内容ですが、通院に関する不安が少しでも軽くなるように、気持ちに寄り添いながら説明していきます。
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当ホームの通院サポートの基本方針

日常の通院はご本人・ご家族・訪問看護が中心
当ホームでは、内科・歯科・皮膚科など、日常的な病院受診については、基本的にご本人・ご家族・訪問看護が中心となって対応しています。これは、過度な依存を生まないための「自立支援」という考え方がベースになっています。
訪問看護ステーションとは密に連携しており、体調管理やお薬の確認など、生活面で必要な医療的サポートが無理なく続くよう、丁寧に話し合いながら寄り添う体制を整えています。
契約書にも明記しているホームの運用方針
通院同行に関しては、ご家族や相談支援専門員の皆さまにも誤解が生じないように、契約書に明確に記載しています。
「医療的に必要と判断された場合に限り、精神科の通院同行(⽉1回まで)に対応する」という内容で、入居者さんやご家族にもできるだけ分かりやすく伝えています。
自立支援と安心のバランスを大切に
すべての通院に同行することは、「安心」の面では良く見えるかもしれません。しかし、過度な同行支援はご本人の自立する力を奪ってしまうこともあります。
当ホームでは、「ご本人ができるところは尊重し、必要なところだけサポートする」というスタンスを大切にしています。このバランスが、長期的に自信を持って生活していくことにつながります。
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ホーム職員による通院同行について
同行が必要と判断された場合のみ対応
通院同行は、医療的な必要性が高いと判断された場合に限り実施します。その判断は、相談支援専門員や訪問看護と慎重に協議しながら行います。
「同行が本当に必要なのか?」「訪問看護で代替できないか?」といった点も含め、複数の視点から丁寧に検討して決めています。
精神科への通院に限定し、⽉1回まで同行
現在の体制では、精神科受診に限って月1回までスタッフの同行が可能です。
精神科では、お薬の調整や症状の変化について医師と共有する必要がある場合も多く、ご本人だけでは伝えきれない細かな部分をスタッフが補足することで、より適切な支援につながります。
同行が必要と判断されるケース
* ご本人が医師に状況を伝えることが難しい場合
* 日常生活の様子を医師に共有する必要がある場合
* 診察時に不安が強く、スムーズに受診できないことが想定される場合
* 医師からホームスタッフの同席を求められた場合
同行の判断は、「安全」「安心」「必要性」を軸に慎重に行います。
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送迎に関するルール
精神科同行時のみ送迎が可能
送迎についても同行と同じルールで、精神科通院同行が必要と判断された場合のみ対応しています。
「同行なしで送迎だけお願いしたい」というご相談もありますが、体制上、送迎のみの対応は行っておりません。
日常的な送迎は行っていません
内科や歯科などの日常受診については、ホームスタッフによる送迎は実施していません。公共交通機関の利用や、ご家族・訪問看護との連携を中心に対応しています。
公共交通機関の利用が難しい場合
「バスが苦手」「道が分からない」「ひとりが不安」といったお悩みがある方もいらっしゃいます。その場合は、相談支援専門員や訪問看護と話し合いながら、必要に応じた代替案を一緒に考えています。
不安に寄り添いながら、その方にとって無理なく続けられる方法を探すことを大切にしています。
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通院が決まるまでの流れ(手続き)

ご本人・ご家族・相談員で方針を確認
まずは受診の目的や状況を丁寧に確認します。「なぜ受診するのか?」「いま困っていることは何か?」など、細かな背景を共有しながら方向性を決めていきます。
訪問看護が必要性をチェック
訪問看護師が体調や症状を確認し、受診が必要かどうか、同行が必要かどうかをチェックします。医療面の専門家の視点が入ることで、より適切な判断が可能になります。
同行が必要かどうか最終判断
相談員・訪問看護・ホームスタッフで協議し、同行の必要性を判断します。必要性が薄い場合は訪問看護でのフォローを強化するなど、別の手段を取ることもあります。
受診後の情報共有も丁寧に
受診後は、医師の指示や治療方針をホーム・訪問看護・相談員で共有し、生活の中で適切に反映できるよう体制を整えます。
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訪問看護との連携で安心サポート
お薬・体調のチェックをサポート
訪問看護師は、定期訪問時にお薬の管理や体調の変化を丁寧に確認します。「最近眠れない」「食欲がない」などの小さな変化も見逃さず、必要時は医療機関と連携します。
医療機関との情報共有
必要に応じて、訪問看護師やホームスタッフから医療機関へ情報共有を行うこともあります。ご本人だけでは伝えきれない部分を補うことで、治療効果がより安定します。
生活の中での小さな変化にも対応
生活の中で起こる小さな変化――たとえば「元気がない日が増えた」「朝起きられない日が多い」など――にも敏感に気づき、必要に応じて訪問看護や相談員と協力して対応します。
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緊急時(急病・救急)の対応
急な体調不良があったとき
発熱や腹痛、けがなどの急な体調不良が起きた場合、まずはホームスタッフが落ち着いて状況を確認します。体温や脈、顔色、話し方など、普段の様子と比べて変化がないかを丁寧に観察し、そのうえで必要な対応を判断します。
「少し様子を見ても大丈夫な状態なのか」「すぐに医療機関へ連絡すべきなのか」など、判断のポイントをスタッフ同士で共有し、迷ったときには訪問看護師にも連絡を取り協力して進めていきます。
夜間・休日の対応
夜間や休日の時間帯は、病院が閉まっていることも多く不安になりがちです。そうした時間帯でも、必要に応じて以下のような対応を行います。
* まずはスタッフが状況を確認
* 県や市の救急相談窓口に連絡し指示を仰ぐ
* 訪問看護の緊急連絡先へ相談
* 必要な場合は救急車を要請
慌てず、冷静に、そして安全を第一に考えながら対応します。
家族・相談員への連絡
体調不良の程度に応じて、ご家族や相談支援専門員へ迅速に連絡を行います。連絡内容はできるだけ分かりやすく、状況・対応・今後の見通しなどを丁寧にお伝えします。
「いまどんな状況なのか分からない」という不安がないよう、ホームとしてできる限り安心感を持っていただける連携を大切にしています。
救急搬送が必要な場合
高熱が続いている、意識がはっきりしない、強い痛みがあるなど、緊急性が高いと判断された場合には速やかに救急車を手配します。その際には、これまでの医療情報や服薬状況などを共有し、スムーズに対応が進むようサポートします。
搬送後も、入居者さんの様子が落ち着くまで、ホームとしてできる限りのフォローを続けていきます。
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ホームが同行や送迎を限定している理由
無理のない体制を維持するため
ホームの支援は毎日の生活全体を支えるもの。そのため、スタッフ全員が無理なく支援を続けられる体制であることがとても大切です。
同行や送迎を必要な場面に絞ることで、すべての入居者さんに公平で丁寧な支援を提供できるようにしています。
自立支援を大切にするため
支援が多すぎると、かえってご本人が持つ力や自信を奪ってしまうことがあります。「できることは自分で」という経験は、生活の安定にもつながります。
そのため、過度な同行や送迎は避け、本当に必要な場面で必要な支援を行うことを大切にしています。
訪問看護との役割分担
医療的な部分は訪問看護が中心となり、ホームは生活面の支援を中心に行うことで、それぞれが無理なく、そして確実なサポートができる体制が整います。
「ホームと訪問看護が協力し合う」ことで、ご本人にとって安心できる環境が生まれます。
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訪問看護を利用した方が良いケース
お薬の調整が必要な方
お薬の変更や調整が多い方は、訪問看護のサポートがあると安心です。医療職ならではの視点で、生活リズムや飲み忘れのフォローを行いながら、健康状態に寄り添います。
通院に不安がある方
ひとりで受診するのが不安な場合は、訪問看護が心強い味方になります。医療面の相談を事前に受けられるため、受診がスムーズになりやすいというメリットもあります。
医療的な相談が多い方
「この症状は病院へ行くべき?」「薬の副作用かも?」といった小さな疑問も、気軽に相談できるのが訪問看護の魅力です。
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当ホームの通院支援の理念
自立と安心の両立を大切に
無理のない支援を続けることで、長く安心して暮らせる環境を目指しています。
必要な支援に力を注ぐこと
本当に必要な場面でしっかりとサポートできるようにしています。
ご本人の選択を尊重する支援
その人らしい暮らしを大切にしながら、寄り添った支援を心がけています。
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よくある質問(Q&A)
精神科以外の受診はどうなりますか?
日常の通院はご本人・ご家族・訪問看護が中心となります。
月1回以上の同行は可能ですか?
体制上、月1回までとなっています。必要な場面に絞って実施しています。
送迎だけお願いできますか?
送迎のみの対応は行っておりません。
急な体調不良があった場合はどうなりますか?
発熱やけがなど急な体調変化があった場合、まずスタッフが状況を確認し、必要に応じて救急相談窓口や訪問看護と連携します。緊急性が高いと判断された際は、速やかに救急搬送を行います。
医師への情報共有はどのように行われますか?
訪問看護やホームスタッフが、ご本人のご了承を得たうえで医師へ生活状況や症状を共有します。受診後の指示もホーム内でしっかり確認し、日々の生活支援へ反映します。
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まとめ

通院は生活の大切な一部であり、安心して暮らすために欠かせない要素です。当ホームでは、
* **日常的な通院はご本人・ご家族・訪問看護が中心**
* **スタッフ同行は精神科受診のみ・月1回まで・必要時に限定**
* **送迎も同行時のみ対応**
* **訪問看護と連携して医療面の不安を軽減**
* **緊急時は落ち着いて状況を判断し適切に対応**
という形で、無理のない、でもしっかりとした医療サポート体制を整えています。
「自分でできるところは尊重し、必要なところは一緒に支える」——このバランスを大切にしながら、入居者さん一人ひとりの安心と自立を支えることが、当ホームの何よりの想いです。
ご不安なことや、個別の事情がある場合は、どうぞ遠慮なくご相談ください。生活や医療にまつわる不安が少しでも軽くなるように、スタッフ一同心を込めてサポートいたします。
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